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好きになった人が好き

『弱さじゃないよ、恋は』が好きすぎる  

 

はじめに

2022年6月29日、夏の訪れと猛暑の予感を感じさせるこの日に、夏を代表する曲が発売されました。


つばきファクトリー『弱さじゃないよ、恋は』Promotion Edit - YouTube

夏の恋のみずみずしさとを幸せを噛み締めるこの曲を、発表されてからずっと聴き続けています。決してテンションが上がるようなアッパーチューンでもないのに、なぜか力が湧いてくるような感覚。自分の深いところを支えられるような、そんな感覚になります。これって私だけ?

つばきファクトリーの夏の代表曲である『今夜だけ浮かれたかった』が気持ちを打ち明けられなかった人の鬱憤を吐き出すものだとすれば、『弱さじゃないよ、恋は』は気持ちを打ち明けたあとの幸せを噛み締めるものと感じています。

 

ハロプロメンバーは曲を歌う前にどんな情景か想像を膨らましているだろうことをレッスン動画やレコーディングから見てとれます。私もハロメンとしての自覚を持ち、実力診断テストやひなフェスのソロ、卒業コンサートで歌うことを想定して曲の想像を膨らませておこうと思い、ブログを書くこととなりました。この時点でよくわからないことを言っていますが、この先はもっとわけわからないことを書きます。


妄想『弱さじゃないよ、恋は』物語

「大丈夫です、大丈夫!!やっておきます!!」

今抱えているものでいっぱいいっぱいなのに大丈夫といってしまう癖を、「大丈夫?」と心配されて言葉をかけられたら反射的に大丈夫と打ち返してしまう癖を、幼い頃から直せないでいる。直そうと思っても直せない、しぶとく染み付いてしまったこの呪い。断れなかった自分を棚に上げて、頼んできた人の愚痴で気を紛らわすしかない。

「そっか、大変だったね。」

付き合いの長い友人からのそんな優しい言葉に、甘えてしまっていた。更にテラス席で浴びる木漏れ日が優しさと、勧められた紅茶の香りが優しさが掛け合わさって、すっかりリラックスしてしまった。昨日も結局残業になってしまった。今日を楽しむために休みに入る前に仕事を終わらせてしまいたくて結局遅くまでやってしまった。そんなことを考えながら意識が遠のく。

ハッと目が覚めた瞬間、たった二人のお茶会でうたた寝をしてしまったことに青ざめた。

「大丈夫?」

眠ってしまったことを咎めるわけでもなく、心配してくれる様子に、とっさに「大丈夫」と返した。寝起きでも反射神経は抜群だ。

「また今度にしよう。今日はゆっくり休んで。」

会えることを楽しみにしていたのに、そんなの寂しすぎる。嫌だ、大丈夫だと頑なな様子に、

「寝不足は寝るしかない」

と、ぐうの音も出ないことを言われてしまう。

「眠いの頑張ってるからでしょ。また来週にすればいいからさ。」

絡まって強く引っ張って直そうとしてこじらせた自分を暖かい日溜まりでほどかれたような感覚に泣きそうになった。

 

あの日から、なんとなくあの人とは連絡を取らなかった。何気なく食事に行く約束をしてしまった先週の自分を悔やむ。行きたくないわけではない、会いたくないわけではない。なのにどうしてこんなにも心が落ち着かず、気を抜くと家に帰りたくなってしまっているのだろう。こんなに気持ちが疲れるのなら、家で大人しくテレビでも見ていればよかった、と憂鬱を感じながら駅を歩く。駅はこんなにもごった返して、皆どこに向かっているのだろうか。同じ方向に向かう人の流れの遅さに、すれ違う人の荷物の多さにうんざりしながら駅のホームを目指す。

「あ・・・。」

ごった返す人のなか、見慣れた背中。何でこんなに人がいるのに、あの背中だけ浮き上がって見える。待ち合わせ場所の前に会ってしまうのは気まずいかなあ、しかも電車に乗る前に。そんなことを考えながら走って背中を追いかける。追いかけ始めた瞬間、私はあの人にこんなにも会いたかったのかと思い知る。

人混みにあの人を見失いそうで、焦りながら背中を追う。息が切れそう。いや、もう息が出来ない。人が多すぎてなのか、緊張で足が縺れてなのか、全然前に進まない。あの人は激流の川の向こう側にいるかのように果てしなく遠い、そんな白昼夢を見た。
この激流を渡った後に傷だらけになっていても、渡った後に更なる大きな川が待っていても、それでいいと思えた。この気持ちにさせてくれた人にこの気持ちを伝えることが出来たら、どんなに幸せなことか。

名前を呼び掛けると振り返ったあの人は、こちらに気づいて目を細めた。ちょうどホームについて、夏のモワッとした熱気が一気に体温を上げた。ああ、青はこんなにも美しかったのか、と青を身に付けたあの人と、その後ろの空の青さを見ながら気付く。

「おはよう。今日は空が綺麗だね。」

そう言われて、「そうだね」としか返せない自分と、同じ気持ちの嬉しさを噛み締める。空だけじゃなくてあなたも素敵だよ。

いつのことからか、感情を共有することがとても嬉しくなっていた。最初は、あの人が素直に気持ちを伝えてくることに戸惑っていたけれど、いつの間にか慣れて自分にも伝染していた。そして、それが心地よくなっていた。

気付いていなかった、気付いていない振りをしていたけれど、きっとこれは・・・。

 

「好きです。」

好きだけでは決して伝わらない。上手く言葉で伝えることが出来ない私が精一杯絞り出した四文字。
人との関係に踏み込めなかった自分に踏み込む勇気をくれた人。自分の気持ちを素直に伝えることを教えてくれた人。気持ちを共有することの喜びを教えてくれた人。とても感謝していること、共に歩んでいきたいと思えたこと、伝えたいことがたくさんある。

言葉を発してから長すぎる時間が流れる。何考えているかわからないから何か言って。もしかしてホームとかいう変な場所で打ち明けたことにあきれてる?顔が見れないまま、ジリリと夏の暑さを永遠の時間のなかで感じる。


ドンっと強い衝撃が背中に伝わる。発車直前の電車に駆け込む乗客とぶつかったようだ。とっさに掴んだあの人のアーバンブルーのTシャツ。

「肘赤くなってるよ。痛い?」

ぶつかったときに肘をどこかに擦ったようだ。
背中を支えられるあの人の手の優しさと目の前に広がる青の優しさに、鼻の奥がツーンとなるのを感じながら、私は「痛い・・・」と呟いた。

大丈夫と言わせないマジックをこの人は使えるんだなと思いながら、アーバンブルーのTシャツに顔を寄せた。顔を寄せたことでワンポイントマークのように青が濃くなった。

「好きです。」

さっきよりも強くTシャツを握り、しっかり顔を上げて伝える。きちんと気持ちを伝えることから逃げてきた私なりのけじめの付け方。この気持ちをもうごまかさない。この気持ちから逃げない。

「そうだね。一緒だね。」

心が通じあった喜び、頑なな心がほどけた喜び、自分が人を愛せる人間だと知った喜びをどのようにあなたに伝えたらいいのだろう。止まらない気持ちは涙となって溢れた。自分の背中に回った手が力強くなる。
目の前の青と線路越しの青に夏を感じながら幸せを抱きしめた。

 

 

曲の好きなところ


妄想を一通りして満足したところで、この曲の好きなところを伝えたいと思います。


夏を感じるような曲調の爽やかさ。シャボン玉のようなキラキラとしたイントロで始まるのに、すぐに弾けてしまうような泡沫の切なさがあるイントロ、天才過ぎる。キラキラ輝いているからこそその瞬間、時間を大切にしたい、そう予感させるイントロです。夏が始まるワクワクキラキラ感と夏が終わるノスタルジーが共存しています。
そんなキラキラと儚さが共存するイントロで始まり、河西結心ちゃんの歌い出しでそわそわした緊張とワクワクと浮き立つ感情に一気に引き込まれます。その後の「会いたかったよなんて私らしくないな」と歌う秋山眞緒ちゃんと柔らかくはにかむような歌声でその世界に引き込まれます。

こんなに素晴らしい始まりある!?というくらい曲調と歌詞と歌い手の感情が世界観を作り出しています。つばきファクトリー、歌声にも表情つけられるとかすごすぎか。

 

イントロもさることながら間奏の疾走感がとても好きです。走っているのに追い付けない、急いでいるのにたどり着けない気持ちの焦りと走っているときのスピード感が曲から感じられ、脳内で走っている主人公を容易に想像できます。

その後の河西結心ちゃんの「ぎゅっとしたアーバンブルーのTシャツ」のぎゅっと感。こんなに胸を掴まれる「ぎゅっ」がかつてあったでしょうか。音と声が合わさって史上最高の「ぎゅっ」のように思います。

 

そして私がこの曲で一番好きな場所。それは「切実に身を焦がすこと」という福田真琳さんのパート。武道館公演で初披露されたときに見た切実な表情、必死で真摯な歌声とこの歌詞のメッセージが重なり、雷に打たれたような感覚になりました。


【ハロ!ステ#432】つばきファクトリー「弱さじゃないよ、恋は」&アンジュルム CONCERT TOUR -The ANGERME- PERFECTION!キッチン完成&歌詞 MC:新沼希空&小野瑞歩 - YouTube

【ハロ!ステ#432】2:37〜つばきファクトリー「弱さじゃないよ、恋は」

 

どうしたら愛されるだろうということと同じくらい、いや、それ以上に愛するということは大変なことかもしれないとこの年齢になって感じます。自分が人を愛せる覚悟を持ち、切実に身を焦がせる人間だということに気付いたとき、その相手が唯一無二の素敵な人だったときに人は幸せすぎて泣けてくるのかもしれません。

その場面に遭遇したときに脳内で流れるのは『弱さじゃないよ、恋は』のイントロだろうと思います。そのときが夏だったらエモ過ぎて更に泣いてしまうでしょう。

 

好きな人が優しかったら「ピ〜ス!」と言いたくなるように、学生時代に手が触れたら『LOVE SO SWEET』のイントロが流れるように、切実に身を焦がす覚悟が出来たら『弱さじゃないよ、恋は』のイントロが流れ、生活のBGMとしてこの曲が根付く時代が来るのでしょう。

 

そんな時が来ることに思いを馳せながら、ソロで歌うときのために想像を膨らませ続けたいと思います。

ベストパフォーマンス賞間違いなしだ!!